大学院生の募集 - 京都大学複合原子力科学研究所 アクチノイド物性化学研究分野

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受け入れについて

研究を始めるのに必要な知識・能力

放射性物質の取り扱いに関する基礎知識が望ましいですが、必須ではありません。新しい合成・分析技術によるアクチノイド物質(類似の希土類、バナジウムを含む)の物性化学に挑戦する意欲と知的好奇心をもった学生を歓迎します。

研究室の指導方針

配属学生には、RIや核燃料物質の取り扱い法、錯体・酸化物の合成、錯形成の観察法、微量分析を指導します。新しい成果を得るためには装置の操作だけでなく、装置の設計や組立などが必要で装置作りの方法を伝授します。共同利用施設での実験などを通じて、先端的アクチノイド物質の物性が発現する結晶構造、電子構造の決定をデータ解析を行ってチャレンジしてもらいます。研究テーマはできる限り希望を考慮し状況に応じ柔軟に対応します。

この研究で身につく能力

新しい物質や反応性を見るための研究手法や装置開発を通じて、将来、どのような道に進んでも、さまざまな装置を開発できる能力が身につきます。実験技術として、装置設計、真空、錯体合成、酸化物の合成、酸化物の雰囲気制御焼成、低温、X線回折、 元素分析、走査型電子顕微鏡、磁化測定、発光分光、ラマン分光、溶媒抽出、イオン交換、クロマトグラフィー、有用核種の分離(ミルキング)などから必要な技術を習得できます。データ解析を通じて、錯体化学、無機化学、原子力化学工学、Pythonなどの能力が身につけることができます。また、就活に有利な放射線取扱主任者資格のためのガイドも得られます。

研究内容

アクチノイドは5f電子に充填されていく系列で15元素からなります。これらの元素は核的性質と電子的性質の双方が特徴的です。電子的性質は4f電子に電子が充填されるランタノイドにも類似する部分がありますが、d遷移元素との中間の性質を示します。核的・電子的性質の両方をよく知ることで、新たな用途が生まれ、その一例が特定の癌の標的治療薬があります。また放射性廃棄物という厄介者扱いされるマイナーアクチノイドの取り扱いを改善した核燃料サイクルに向けた研究も同様に両方の性質の熟知が必要です。また、アクチノイドはd遷移元素に類似する元素(バナジウム)があり、電池としての活用が可能です。

研究テーマ(例)

  • マイナーアクチノイドの新規希釈剤による分離、固化安定化
  • 蛍石構造酸化物の固溶体の安定領域に関する実験的・熱力学的研究
  • アクチノイド環状錯体の合成・物性研究・応用
  • Lu-177、Tb-161等の原子炉での製造・分離精製
  • Ra-224、Pb-212の製造と核医薬利用
  • バナジウム半固体電池の電極体の素反応、COMSOLシミュレーション

研究業績・共同研究・外部資金など

研究業績
  1. C. Tabata, et al., Crystallographic and magnetic properties of neutral and cationic sandwitched uranium(IV) phthalocyanine complexes, J. Molecular Structure, 1277 (2023) 134870.
  2. Ayaki Sunaga, et al., Linearity and Chemical Bond of UO22+ Revisited: A Comparison Study with UN2 and UE22+ (E = S, Se, and Te) Based on Relativistic Calculations, J. Phys. Chem. A, 126 (2022) 8606.
  3. Kenji Shirasaki, et al., Sr(II) extraction by crown ether in HFC: entropy driven mechanism through H2PFTOUD, RSC Advances, 12 (2022) 26922.
  4. Chihiro Tabata, et al., Supercritical hydrothermal synthesis of UO2+x: Stoichiometry, crystal shape and size, and homogeneity observed using 23Na-NMR spectroscopy of (U,Na)O2+x, CrystEngComm, 23 (2021) 8660.
  5. Kenji Shirasaki, et al., Homogeneity of (U, M)O2 (M=Th, Np) prepared by supercritical hydrothermal synthesis, J. Nucl. Mater., 563 (2022) 153608.
  6. Chihiro Tabata, et al., Influence of additives on low-temperature hydrothermal synthesis of UO2+x and ThO2, CrystEngComm, 24 (2022) 3637.
  7. Chihiro Tabata, et al., Hydrofluorocarbon Diluent for CMPO Without Third Phase Formation: Extraction of Uranium(VI) and Lanthanide(III) Ions, Separation Science and Technology, 57 (2022) 1097.
  8. T. Yamamura, et al., Vanadium solid-salt battery: Solid state with two redox couples, J. Power Sources, 196 (2011) 4003.
  9. T. Yamamura, et al., Use of the Nonflammable Hydrofluorocarbon (HFC-43-10mee) and Tri-n-butyl Phosphate (TBP) for Nuclear Fuel Reprocessing: Phase Distribution of Uranyl Nitrate and Irradiation Effect of Co-60 γ-ray , J. Nucl. Sci. Technol., 47 (2010) 515.
  10. T. Yamamura, et al., Enhancements in the electron transfer kinetics of uranium-based redox couples induced by tetraketone ligands with potential chelate effect, J. Phys. Chem. C, 111 (2007) 18812.
  11. 塩川佳伸ら, ウラン・ネプツニウムの新しい金属調製法を端緒としたアクチノイド科学への新展開, 日本原子力学会誌, 49 (2007) 755.
外部資金(代表者のみ)
  • 文科省・大学発新産業創出拠点プロジェクト(プロジェクト支援型)
  • 文科省・原子力システム研究開発事業・若手、同・チーム型
  • 学振・科研費:基盤B x 2、基盤C、挑戦的萌芽x2、奨励A、若手B
  • 日本原子力研究所・黎明研究
  • 中部電力・原子力安全技術研究所公募研究(一般)
  • 東北大金研・ナノマテリアル機能創製研究事業
  • 他、企業との共同研究多数