私たちについて - 京都大学複合原子力科学研究所 アクチノイド物性化学研究分野

About us

Laboratory

美しいワインレッド色を呈色する3価ウランPhoto by C.Tabata

原子力化学を担ってきた歴史ある分野

原子炉実験所の設立(1963年)時より「ホットラボ設備管理分野」として設置されました。原子力化学における役割を担ってきた歴史ある分野です。
2018年度より、化学と物理の融合によるアクチノイドサイエンスの新たな発展と、これに基づく原子力化学・燃料サイクル・廃炉等への貢献を目指し、アクチノイド物性化学研究分野(Condensed-matter Chemistry in Actinides, CCA)として新たなスタートを切っています。

綺麗な黄色のウラン6価β-ジケトン錯体Photo by C.Tabata

アクチノイド物性化学とは

アクチノイド元素の中で、ウランより重い元素群は、生み出されて90年しか経過しておらず、強磁性と超伝導の共存、高速な電極反応など興味深い性質が見つかっています。本研究室ではアクチノイド化合物について、新物質を開発し、その物理的・化学的性質をミクロな電子レベルから解き明かすことを目指しています。

粉末X線回折装置(XRD)のゴニオメータPhoto by C.Tabata

学んだ知識を活かして

アクチノイド物性化学の知識を、無機化学、原子力(核燃料サイクル、放射性廃棄物)、核医薬、電池など幅広い分野のグローバルな問題解決に応用します。

Research

アクチノイドの物性化学

ウランより重い元素群は発見から90年しか経過しておらず、「放射性廃棄物」として厄介もの扱いです。周期表でも希土類とともに、はみ出して書かれるのが普通です。しかしこのアクチノイド元素には、超伝導、磁性、化学反応、電極反応などに非常に興味深い性質が潜んでいます。

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放射性廃棄物への取り組み

資源がない我が国にとって原子力発電は魅力的なエネルギー源ですが、放射性廃棄物を排出します。この処理は国土の狭い我が国にとって大きな問題です。再利用されるウランとプルトニウム以外のアクチノイド(マイナーアクチノイド)は放射性廃棄物の中で長い寿命をもちます。私たちは、アクノイド化学の知識を用いてこの問題解決に貢献することを目指しています。

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医療用RI製造

2016年に全身に癌が転移した患者がRI(Ac-225)の投与により完治した論文は世界のみならず我が国の政策にも影響を与えました。核医薬治療の実現には医療用RIの供給が重要ですが、我が国で製造可能なRI核種は少ないのが現状です。私たちは、原子炉を利用したり、核燃料物質のミルキング等により、我が国で安定的に供給可能な医療用RI製造に向けて研究を進めています。

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高出力充放電ができる電池

再生可能エネルギーの活用も重要です。私たちはこのため資源の有効活用として長年のウラン・レドックスフロー電池、ネプツニウム・レドックスフロー電池の研究を行ってきました。この経験に基づき、世界最高の出力を有するバナジウム半固体電池の研究を進めています。

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3-base platform

アクチノイド分野の
全国共同利用施設

アクチノイド系列の元素は全てが放射性です。ほとんどの核種がアルファ放射体として厳しい管理が必要です。さらに、ウラン、トリウム、プルトニウムは核燃料物質としての計量管理がなされる必要があります。このため、アクチノイドの実験が可能な大学の全国共同利用施設は全国でも以下の3つしかありません。私たちは、最適な場所で最適な方法で実験研究ができるように連携を図っています。

京都大学複合原子力科学研究所
(ホットラボラトリ)
京都大学複合原子力科学研究所(ホットラボラトリ) 京都大学複合原子力科学研究所(ホットラボラトリ)
東北大学金属材料研究所
京都大学複合原子力科学研究所(ホットラボラトリ)
量子エネルギー材料科学国際研究センタ ー
(大洗センター、アクチノイド元素実験棟)
東北大学金属材料研究所
京都大学複合原子力科学研究所(ホットラボラトリ)
アルファ放射体実験室(仙台)
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facilities

ホット施設(共用)

ホットケーブ(マニピュレータ)
ホットケーブ(マニピュレータ)
フード
フード

装置(研究室保有)

ICP-MS Agilent 7900
ICP-MS Agilent 7900
(2024年設置計画)
SEM-EDX Hitachi SU3800
SEM-EDX Hitachi SU3800
(2024年設置計画)
XRD(粉末X線回折装置)
XRD(粉末X線回折装置)
還元電気炉
還元電気炉
マッフル炉
マッフル炉
昇華精製炉
昇華精製炉
顕微ラマン分光装置
顕微ラマン分光装置
ポテンシオスタット
ポテンシオスタット
マイクロ天秤
マイクロ天秤
Lu-177分離精製装置
Lu-177分離精製装置

コールド施設(専用)

物理実験室
物理実験室
化学実験室
化学実験室
レンタルラボ
レンタルラボ

lecture

大学院

授業科目名
  • 専攻:工学研究科原子核工学専攻
  • 科目名:核燃料サイクル工学2
  • 対象:修士
  • 曜時限:後期水4
  • 場所:桂キャンパスCクラスター
授業の概要・目的

原子力発電に関わる核燃料工学の中から、放射性廃棄物の計画・設計を行う際に必要となるアクチノイド凝縮系物質の基礎となる理論と応用を論ずる。アクチノイド物性化学の立場から、関連する放射化学、無機化学、固体物理学、金属工学に関する基礎事項を講述し、⻑寿命放射性廃棄物としての管理・保管・処理や、アルファ放射体としてのアクチノイド元素の医療応用における物理化学量の予測手法へ応用できる研究手法と解析方法を講述する。

学部

授業科目名
  • 科目名:人類と放射線(英訳)Radiation and Humanity
  • 開講期:前期
  • 対象学年:全回生
  • 単位互換制度への科目提供:あり(コンソーシアム京都)
担当教員

複合原子力科学研究所の教員(14名)のオムニバス形式

授業の概要・目的

放射線は、宇宙・地球上における自然現象に深く関与している。また、医学をはじめ、物理学、化学、生物学、工学、農学等あらゆる分野において放射線の利用が行われている。授業では、放射能と放射線の本質、原子炉・原子力利用とこれに伴う廃棄物処理の仕組みや生物への影響、生命の関わり、医学での利用、物質科学研究への利用など、人類と放射線との関わりについて、基礎・応用分野にわたって多角的に講述し、原子炉や加速器を用いた研究の世界も紹介する。

schedule

以下はある週のスケジュールを例示的に示しています。

  • 毎朝:研究打合せ
  • 昼休み:雨天でなければ好きな人はテニスコートで練習することもあります。
  • 昼食後:コーヒーブレイク
  • 午後:実験・計算
  • 木曜日午後:雑誌会

年間行事

  • 学会(秋)
  • 専門研究会(2-3月)

打合せや実験等の連携を9:00-17:00に行えるよう各人が時間を調整しています。
研究所の行事としてのバーベキュー等の飲み会に加え、研究室でも花見・忘年会など開催します。

MEMBER

tomoo yamamura

役職
教授
名前
山村 朝雄
連絡先
E-mail: yamamura/tomoo.2e@kyoto-u.ac.jp スラッシュ(/)をドット(.)に変更して下さい
researchmap
https://researchmap.jp/yamamura_tomoo
研究内容
アクチノイド物性化学とこの応用の研究(核医薬用RIの製造とラベリング、放射性廃棄物の安定化、安全かつ高出力のアクチノイド・バナジウム電池)
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役職
研究員
名前
島田 隆
連絡先
E-mail: shimada/takashi.6w@kyoto-u.ac.jpスラッシュ(/)をドット(.)に変更して下さい
役職
技術者
名前
川下 峰和
役職
技術補佐員
名前
菊地 友香梨
役職
技術補佐員
名前
谷平 美紀
役職
D2
名前
齋藤 巧
連絡先
E-mail: saitou/takumi.88e@st.kyoto-u.ac.jpスラッシュ(/)をドット(.)に変更して下さい

joint use

複合研共同利用申請について

  • 「複合研共同利用について」をご覧ください( https://www.rri.kyoto-u.ac.jp/inter-univ/intro
  • 複合研のホットラボの利用には共同利用の申請(年に一度、9月~10月頃)をお願いしております。
  • 山村研では、2つのプロジェクト採択研究を受け入れており、この研究会を毎年2-3月に開催しています。

初回来所前に行うこと

  • 所属機関での放射線業務従事者として登録が必要です
  • 電子申請システム(KWFS)へのログインIDの発行(共同利用申請の採択時に共同利用掛より連絡される)
  • 研究炉を利用した実験・研究を行う場合は保安教育を受講(複合研保安教育のリンク (e-learning))

下記の書類をダウンロードし、提出するためのリンク(ログインIDが必要)

来所時の提出物(電子申請)

  • 放射線業務従事者証明書(電子申請→承認後、押印した紙媒体を郵送(注:来所2週間前までに提出))
  • 管理区域立入願(注:上記の放射線業務従事者証明書を提出、承認後に申請すること。)
  • 出張・実験実施計画書

来所時の持ち物

  • ガラスバッジ

Actinides

本研究所の前身の原子炉実験所は京都大学の附置研究所として、原子力の黎明期の1963年に設立されました。それ以来、大学研究炉を安全に運転・管理し、全国共同利用施設としての役目を果たしてきました。2018年に複合原子力科学研究所(以下「複合研」と略)として改名と改組を行い、広義の原子力として原子核・放射能を利用する技術・学術「複合原子力科学」を目指す研究所として生まれ変わりました。

2026年度に計画されているKUR停止、詳細設計に参画している新試験研究炉(福井県に建設予定)は複合研にとって大きなイベントとなります。2023年4月からはフロンティアセンター設置、2023年度の第1研究棟リノベーション、第2研究棟竣工なども着実に進展してきました。今後、複合研は大きな変貌を遂げることになり、どのような研究所にしていくかの議論が進められています。

複合研が担う役割の中で国内で実験できる環境が限られるアクチノイド研究は原子力や医療にとって重要とされ、本研究所としても重要性が増していくと考えています。関係者との連携や環境整備に努めたいと考えています。

2024年3月 山村朝雄